私の天秤の上、全部いっしょくた

「こたにな々 日記帳」 文から何も気付かなくていい、それだけが私の願い。

「お高くとまった夜」 2007.02.12 04:50

 

 

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壁によりかかる私の視界をふと横切った、
見覚えある長髪の男。

彼が双葉双一だった。

2007.02.04 19:00~
梅田ムジカジャポニカ


◆二度目のムジカの店内はいつものこと、
夜をゆっくり溶かすオレンジ色の照明に満ちていて。
レコード・雑貨・雑誌
レトロ。
なのはやっぱりいつものことで。

それだけじゃなくて、心なしか今日は、
長髪の男の人や古着、おかっぱの女の子で溢れていて、
それにかけられたレコードが、私を。

私を過ぎてった時代の隙間に入り込ませた。

今は何年代?
不思議な感覚になる。
酔いそうだな。なんて思いながら、でも
私も古着ワンピースを、
着てた。

知らない世界に不安を思いながら
壁によりかかる
私の視界をふと横切った、
見覚えある長髪の男。

肩まで伸びた黒髪、ワンレン…。


あ。双葉双一だ。


◆狭い店内なので、真横を通った時の彼は、
初めて見た彼は、
あの独特の空気を従え、背が高く。
おそろしく細くて、白くって。
なんだか人間じゃない雰囲気をピクリと肌が、
感覚が感じとった。

そのせいでとても綺麗な人に思った。


◆クセになりそうな中毒性があって。
けど、目を合わすなんて、
それはちょっとおそろしい事のように思った。

完全に止まってしまってるように見える彼の周りの空気
これのせいだけではないが。

誰が何を思ったが知らんが、
素敵だなー。と思った。


◆首を傾げたまま、遠くを。
何も見てないような目をして、
あくまでマイペースに歌う。

けど、そのペースって、実は、ほら、
宇宙のペースとかと同じなんじゃないか、とか

ってくらい、どこまでが双葉双一のマジック。
自分達がどこまで今捕われているのかも、
私達には分からず、
やっぱりステージの双葉双一はマイペースに歌い続ける。

誰にも聞かせてないような歌い方で。


◆一曲終わると、ギターをポロポロ鳴らしながら、
おそろしくシュールに、
シニカルなコミカルに加工された一言二言を、
舌ったらずに喋り出す。無表情に。

次は森山直太朗の曲で、とか。
次の捨て曲は、とか。
2000円なので1000円分のステージを見せます、とか。
全然変わらないでしょう僕。
さらに美しくなって。


とかって。
けして後に続かない話、一言二言ポツリポツリ。

それをお客さんが、口を開けたような、目で見張るような
なんともいえない顔で見続けている。
目も離せずに。

皆、こんな人に会うのが初めてなんだろうと思う。


とりあえず分からん。
目の前のこの人が分からん…。
どこまでが…

「どこまでが真意か分からないでしょう?」

「分かってるよ。」
と薄く微笑んだ。

み、見透かされてる。

おそろしい。

 


「真実は僕の歌の中にあるよ」

 

 

◆さっき、主催者の堂岡タケシさんが、
ちょっと見て!外の月が凄いよ、怪物くんみたいだ。
って言った。

それに対して、「怪物はおまえだっつーの。」とポツリ。

皆が生唾、ゴクリ。
となるのを感じた。

付け加えられた、
「なんちゃって。」がさらにそれを後押しして。



かと思えば、
大阪はやっぱ落ち着くなーとか言い始めて、
軽快に体操しだしたりする。

そう、
お客さん皆笑うんだよね。


双葉双一はとても得体が知れないけれど、
こんな、何考えてるんだか分からない人だけれど、
シュールに一言二言喋っていくけど、

彼は必ずお客さんを笑わせる。
笑わす方に持っていく。
全部コントロールしているのだ。

やっばり私達、彼の手の中なのだ。



◆でも、実は素だったりするのかも。
とか、
彼の前に立つと、そういう全ての事が意味をなさなくなる。
裏も表も、考える事、嘘とか、ほんとの事とか、
なんてばかばかしい。
そんな事、全部無意味だ。と思う。


あなた、どこまでがホントなの?
そんなことどうだっていい。
しまいにはどんどん音が下がって、
音程が、発音も危うくなって、リズムがギターからずれていく。
歌が適当になっていく。

なのに、その中に突き刺すものを見る。

不思議。


なにも手には取れないのに。
彼が何者か私達にはどんどん分からなくなる中で、


ふと右手首に細い髪ゴムをはめているのを見つけた。

それが双葉双一のゆいつの素に見えて、救いに思った。
(髪長いから、やっぱくくったりするのかな。。って)


でもそれすらもどうか分かんない。
そんな人。
そんな夜。

私とてもお高くとまったわ。


◆終わって、
意外に大丈夫かもしれないな、と思った
のも束の間、
壁から起こした私の足はフラフラ。

あ、頭がクラッと。
容量いっぱいいっぱいな風で私は、
次の主催者堂岡さんのバンド、銀閣寺を見た。
男前な歌だった。


お高くとまった夜。


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2007.02.04 梅田ムジカジャポニカ
「人間ども集まれ!関東人間秘宝館編」
出演
林良太(ミックスナッツハウス
S.L.L+中村ジョー
双葉双一
銀閣寺(元ヤングブキーズ・堂岡タケシ+Niplets・たまご)
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素晴らしいイベントだった。
堂島孝平@神戸に行くの止めただけあった。


ありがとう皆さん。